終活を見据えた借地権アパート売却 難解な連棟式建物を売却する最適な進め方

◇コンサルティング概要(Before → After)

ご相談前(Before)

  • 築40年以上が経過した借地権付きアパートを所有
  • 連棟式建物で登記上一体となっており、自分の部分だけを取り壊すことができない
  • 終活を考え始めたものの、何から手を付ければよいか分からない
  • 家族へ負担を残したくないという思いから売却を希望

コンサルティング後(After)

  • 権利関係を整理し、最適な売却先は地主であることを明確化
  • 地主との良好な関係を活かした売却方法をご提案
  • 借地権の価格や売却時の注意点を理解し、今後の進め方が明確になった
  • 家族へ負担を残さない終活として、不動産整理への第一歩を踏み出すことができた

◇コンサルティングの詳細

1)相談者の状況

今回ご相談いただいたのは、60代後半の男性です。

昭和50年代に建築された木造アパートの一部を所有されており、長年にわたり賃貸経営を続けてこられました。

建物は現在も満室で運営されており、家賃収入は継続しています。しかし築年数の経過に伴い建物の老朽化が進み、修繕や維持管理への不安が大きくなっていました。

さらに、ご自身も60代後半となり、終活を意識するようになったことから、

「妻や子どもたちに、この複雑な不動産を残したくない」

というお気持ちが強くなり、売却を検討されるようになりました。

しかし、一般的な借地権付き建物とは異なり、この建物には大きな特徴がありました。

建物は隣接する建物と壁を共有する連棟式で、登記上は一体の建物となっています。

建物全体を複数名が区分して所有しており、それぞれ専有部分として登記されている特殊な権利形態でした。

さらに、そのうち一人の所有部分は数年前に地主へ売却済みであり、自分の部分だけを取り壊したり建て替えたりすることは現実的ではありません。

また、土地は借地であるため、

  • 地主との契約
  • 借地権の譲渡
  • 建物の管理
  • 将来の建替え

など、さまざまな要素が複雑に関係しています。

ご相談時には、

「売却したい気持ちはあるが、何から始めればよいのか全く分からない。」

という状態でした。


2)抱えていた問題

今回のご相談では、建物の老朽化だけが問題ではありませんでした。

複数の事情が重なり、一般的な不動産売却よりも慎重な検討が必要な案件でした。

主な課題は次のとおりです。

  • 借地権付き建物である
  • 連棟式建物のため単独で建替え・解体できない
  • 建物が登記上一体となっている
  • 築40年以上が経過し老朽化している
  • 現在も入居者がおり、賃貸経営を継続している
  • 将来の修繕費負担が大きくなる可能性がある
  • 相続時に家族が対応に困る恐れがある

借地権は法律上しっかりと保護された財産権ですが、所有権と比べると取引できる相手や条件に制約が多く、売却方法を誤ると時間がかかったり、希望どおりに進まなかったりすることがあります。

そのため、まずは「誰に売却することが最も現実的なのか」を見極めることが重要でした。


3)コンサルティングを提供するために確認したこと

私たちは、最適なご提案を行うため、まず権利関係と契約内容を丁寧に整理しました。

確認した資料は次のとおりです。

  • 住宅地図
  • 土地・建物の登記事項証明書
  • 公図
  • 建物図面
  • 固定資産税課税資料
  • 建築図面
  • 借地契約書
  • アパート賃貸借契約書
  • 家賃入金状況
  • 地代支払状況
  • 現地写真

さらに、

  • 地主との関係性
  • 借地契約の内容
  • 建物の維持管理状況
  • 入居状況
  • 将来のご家族の意向

についても詳しくヒアリングしました。

その結果、地主とは長年にわたり盆暮れの挨拶を欠かさず、信頼関係が築かれていること、直接連絡が取れる良好な関係であることが分かりました。

この点は、借地権売却において非常に大きな強みとなります。


4)コンサルティングを実行した流れ

まず私たちは、借地権の市場性についてご説明しました。

借地権には国税庁が公表する借地権割合がありますが、これは相続税評価などの基準であり、実際の売買価格と一致するものではありません。

実際の市場価格は、

  • 借地契約の内容
  • 借地権の残存期間
  • 地代
  • 更新料
  • 承諾料
  • 地主の譲渡承諾
  • 建替え条件
  • 買主の融資条件
  • 土地形状や接道条件

など、多くの要素によって決まります。

一般的には所有権価格の50〜70%程度で取引されるケースが多く、地主への売却では55〜65%程度に落ち着くことも少なくありません。

そのうえで、今回の案件については、

地主へ売却することが最も現実的であり、相談者にとっても最善の選択肢である

との結論をご提案しました。

第三者へ売却する場合は、

  • 地主の承諾
  • 買主探し
  • 融資条件
  • 権利関係の理解

など、多くのハードルがあります。

一方、地主にとっては土地利用の自由度が高まり、将来的な土地活用にもつながるため、双方にメリットが生まれる可能性があります。

また、地主との関係が良好であることから、

まずは直接ご相談されることをおすすめしました。

地主側から売却を進める不動産会社を紹介される可能性も高く、その流れで円滑に話が進むことも少なくありません。

さらに、

  • 紹介された不動産会社に不安がある場合
  • 条件交渉で悩んだ場合
  • 地主との共同売却を検討する場合

などは、第三者の立場から引き続きサポートできることもお伝えしました。

私たちは、不動産は「売ること」だけが目的ではなく、ご家族を含めた将来設計の中で最適な選択をすることが大切だと考えています。

今回も、その考え方を軸にコンサルティングを行いました。


5)コンサルティング後の感想

相談者からは、次のようなお言葉をいただきました。

「終活を意識する年齢になり、このまま中途半端な状態で子どもたちへ引き継ぐことだけは避けたいと思っていました。しかし、何から始めればよいのか分からず、不安ばかりが大きくなっていました。

今回、専門家に相談したことで、自分の不動産の状況や売却までの進め方が整理され、ようやく前へ進める気持ちになれました。

特に、地主との関係を活かした進め方が最善だと分かったことで、安心して最初の一歩を踏み出せそうです。

売却は価格だけではなく、準備や進め方が大切なのだということを実感しました。これからは家族に負担を残さないよう、一つずつ整理を進めていきたいと思います。」


私たちは、不動産には一つとして同じ案件はないと考えています。

特に借地権や共有・連棟建物のような権利関係が複雑な不動産は、「まず売却先を探す」のではなく、「現状を正しく整理し、最適な進め方を見極める」ことが重要です。

終活や相続を見据えた不動産の整理は、早めに方向性を決めることで選択肢が広がり、ご本人だけでなく、ご家族の安心にもつながります。

複雑な権利関係の不動産でお悩みの方は、売却を急ぐ前に、ぜひ一度専門家へご相談ください。

「東銀座アセットコンサルティング」では、初回無料相談を行っています
初回無料相談はこちら
https://higashiginza.jp/customerform


―2人の専門家が語る“ 手遅れ” の現実<スペシャル対談動画>―
「家族のために残した”不動産”」が、争いの種になるとき

<フルバージョン対談>60分動画