不動産の相続は、誰に相談すると良いのか

不動産の相続は、多くの方にとって一生のうちに何度も経験することではなく、その分、知識や情報が不足しがちです。

いざ相続が発生すると、「誰に相談すればよいのか」「どの専門家にどこまでお願いすればよいのか」といった疑問が生じることがよくあります。

特に不動産が関係している場合は、相続財産の中でも評価が難しく、扱いにも注意が必要な資産であるため、適切な専門家への相談が不可欠です。

そこで、不動産の相続について、どのような専門家に相談すればよいのかをご説明します。

■相談する内容によって異なる、専門家の選び方


相続に関する相談と一口にいっても、その内容は多岐にわたります。

相続税の申告や納付、遺言書の作成、遺産分割協議、不動産の名義変更や売却など、さまざまな手続きが発生します。

そして、それぞれの手続きには専門知識が必要であるため、相談先を間違えると的を得ない答えが返ってきたり、また時間や費用を無駄にしてしまうおそれがあります。

したがって、まずは「自分が相談したいことは何か」を明確にしたうえで、適切な専門家を選ぶことが大切です。

□不動産の分割や売却のご相談:「不動産コンサルタント」が望ましい


相続財産に不動産が含まれている場合、まず真っ先にご相談いただきたいのが「不動産コンサルタント」です。

不動産コンサルタントは、不動産の評価や活用、売却、分割方法のアドバイスなどに精通しており、相続における不動産の取扱い全般について適切な助言をしてくれます。

たとえば、「相続人同士で不動産の分け方について揉めないように事前に準備をしたい」「不動産を現金化して相続税を払いたい」「相続する不動産を将来の資産として有効活用したい」といったようなご相談には、不動産コンサルタントが最適です。

不動産は、その評価や将来性、共有時のリスクなど、多くの要素が複雑に絡み合っているため、専門的な視点から中立的なアドバイスを受けることが非常に重要です。

また、不動産コンサルタントが窓口となって、必要に応じて税理士や司法書士と連携してくれることもあります。

不動産に関する相談がある場合には、まず不動産コンサルタントに相談することで、相続全体の方針を整理することができます。

□税金に関するご相談:「税理士」に相続税の試算を依頼する


相続において税金、特に相続税の申告や納付は大きなテーマの一つです。
相続税は、被相続人が亡くなってから10か月以内に申告・納税しなければなりません。

また、課税対象となる財産の評価方法や控除の適用など、専門的な知識が求められます。
こうした税務に関するご相談は「税理士」の専門分野です。

特に、相続に強い税理士であれば、税務上の相続財産評価を正確に算定し、できるだけ税負担を抑える方法を一緒に考えてくれるでしょう。

ただし、税理士は不動産の実勢評価や、分割のアドバイスに関しては専門外であることには注意が必要です。
不動産の分割や売却が関係する場合には、不動産コンサルタントと連携しながら相談を進めることが望ましいといえます。

□相続手続きや名義変更のご相談:「司法書士・行政書士」へ相談する


相続が発生した後には、不動産の名義変更(相続登記)を行う必要があります。
また、遺産分割協議書の作成や遺言書など、法的な書類の整備も必要となります。

こうした法律文書の作成や登記手続きを行う際には、「司法書士」や「行政書士」に相談するのが一般的です。

司法書士は、不動産などの登記の専門家であり、名義変更の手続きをスムーズに行ってくれます。
そして行政書士は、遺産分割協議書や相続関係説明図などの書類作成を依頼する際に頼りになる存在です。

特に、相続財産評価が相続税の基礎控除の範囲内(計算式=「3,000万円+法定相続人の数×600万円」)であれば、税理士ではなく司法書士・行政書士へ直接相談されても良いと思います。

ただし、司法書士・行政書士も不動産の実勢評価や分割のアドバイスに関しては専門外です。
このような事情がある不動産を含む相続手続きは、やはり不動産コンサルタントに併せて相談することが必要です。

□不動産が関係する相続は、まずは「不動産コンサルタント」へ相談する


ここまでご説明してきたとおり、相続に関する相談先は内容によって異なります。

しかし、相続財産の中に売却や分割が想定される不動産が含まれる場合には、最初の相談先として「不動産コンサルタント」を選ぶことをおすすめいたします。

最近では、単に不動産の売却を勧めるだけでなく、相続人全体の状況を把握しながら、不動産の分割方法や有効な活用方法について総合的な視点から提案してくれる不動産コンサルタントも多く存在しています。
税理士や司法書士など、他の専門家と連携してチームを組みながら、相続全体の流れをサポートしてくれます。

「どこに相談すればよいのかわからない」とお困りの場合には、まず不動産コンサルタントに相談してみてください。
ご自身の状況に応じた適切な専門家の紹介も受けられるため、最初の一歩として非常に有効です。

■まとめ


不動産の相続は、法務・税務・不動産取引といった複数の専門分野が関係する複雑な手続きです。
そのため、相談する内容によって適切な専門家に相談することが重要です。

1.不動産の分割・活用・売却などの準備・・・不動産コンサルタント
2.相続税など税金に関すること    ・・・税理士
3.登記や遺産分割協議書などの書類作成・・・司法書士・行政書士

そして、相続に不動産が含まれる場合は、まず不動産コンサルタントへご相談ください。
専門家との連携を通じて、相続全体を円滑に、かつ公平に進めることができます。
早い段階での相談が、トラブルを未然に防ぐ大きなポイントとなります。

不動産の相続に関して不安や疑問をお持ちでしたら、どうぞお早めに専門家へご相談ください。

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