■ご相談
当社が所有するビルに対して、このたび建築基準法第12条第5項の規定による報告を求められました。
そこで調べてみると、かつてこのビルに関してエンジニアリングレポート(ER)が作成されていたことが分かりました。
このエンジニアリングレポートを、建築基準法第12条第5項の規定による報告に替えることは可能ですか?
■回答
建築基準法第12条第5項の規定による報告と、エンジニアリングレポートは、全く意味が違います。

■内容
今回は、一般法人の資産管理部からのご相談でした。
ここで、建築基準法第12条第5項の規定による報告と、エンジニアリングレポートの違いを纏めておきます。
建築基準法第12条第5項は、「特定建築物」に対して、所有者や管理者が定期的に建築士などの専門家による調査・点検を実施し、その結果を所管行政庁へ報告することを義務付けた規定です。
これは、主に公共性の高い建築物(例:学校、病院、劇場、共同住宅など)に対して、法令順守による安全性を保つために設けられた制度です。
一方、エンジニアリングレポートは「投資判断や資産評価のための任意調査」であり、依頼者の意向に応じた柔軟な内容で構成されます。
どちらも建物に対する調査という点では共通していますが、目的・義務性・使用目的・報告先がまったく異なるという点が最大の違いです。
それぞれの制度・報告の性質を理解し、必要に応じて適切に使い分けることが重要です。
なお、順法性については、改善が容易に可能な場合とかなり手間を要する場合があります。
このようなご相談は、一級建築士事務所登録のある不動産会社へご相談されることをお勧めします。
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