相続の話し合いで生じた姉妹間の食い違い

相続財産の不動産評価を整理し、姉妹間の協議から売却まで円滑に進めた事例

◇コンサルティング概要(Before → After)

ご相談前(Before)

  • 母の相続に伴い、母名義の一戸建てを長女である私が取得する予定だった
  • 母の介護を担ってきた私たち夫婦と、妹夫婦との間で相続財産の評価について意見が一致しなかった
  • 特に不動産について、どの価格を基準に遺産分割を考えるべきか判断が難しい状況だった
  • 相続税の申告に必要な不動産評価と、実際に売却した場合の市場価格の違いが十分に整理されていなかった

コンサルティング後(After)

  • 姉妹それぞれの考えをヒアリングし、相続協議の論点を整理
  • 対象不動産の価格調査を実施し、実勢価格を客観的に把握
  • 税理士と連携し、相続税申告に向けた準備をサポート
  • 司法書士と連携し、不動産の相続登記を実施
  • 相続後に取得した不動産について、売却・現金化までサポート
  • 不動産評価に対する姉妹間の認識を整理し、相続手続きを円滑に進めることができた

◇コンサルティングの詳細

1)相談者の状況

50代の女性から、不動産の相続についてご相談をいただきました。

「母が亡くなり、相続の手続きを進めています。

母が所有していた不動産については、長女である私がいったん引き継ぐ予定です。母が高齢になってからは、私たち夫婦が介護も担ってきました。

妹と話し合って相続を進めようと思っていたのですが、不動産をどのように評価するのかについて意見が合わず、なかなか話がまとまりません。

相続税のための評価なのか、実際に売却した場合の価格なのか、何を基準に考えればよいのか分からない状況です。

できれば姉妹で話し合いながら、円満に相続を終えたいと考えています。」

相談者プロフィール

相談者

  • 50代女性
  • 既婚
  • 東京都内在住
  • 会社員
  • 夫・50代、会社員

ご家族

  • 兄弟姉妹・妹1人
  • 母・この度死去
  • 父・すでに死去

不動産

  • 母名義の一戸建て
  • 母の死去後は空き家
  • 相続後は長女である私が取得する予定
  • 相続後に売却する予定だが、詳細は未定

ご相談時の状況

今回のご相談では、相続人である姉妹間で話し合いを進めていたものの、相続財産に含まれる不動産の評価について認識の違いが生じていました。

不動産は現金や預貯金と異なり、「いくらの財産として考えるのか」という点が分かりにくい資産です。

特に相続では、税務上の評価と、実際の不動産市場で売却できる価格が必ずしも同じになるわけではありません。

今回も、こうした不動産特有の評価の問題が、姉妹間の話し合いを難しくしている状況でした。

一方で、ご相談者様とご姉妹様との間には、話し合いを続ける余地がありました。

そのため、最初から紛争として扱うのではなく、不動産の専門家が第三者として間に入り、客観的な情報を整理しながら話し合いを進めることになりました。


2)抱えていた問題

今回の課題は、単純に「不動産がいくらなのか」という問題だけではありませんでした。

主な課題は次のとおりです。

  • 姉妹間で不動産評価について認識の違いがあった
  • 相続税申告における不動産評価と、市場での実勢価格の違いが分かりにくかった
  • 相続財産全体をどのように分けるかについて、客観的な判断材料が不足していた
  • 相続後の不動産を保有し続けるのか、売却するのかという選択肢も整理する必要があった
  • 相続税申告や相続登記など、複数の専門家による手続きが必要だった

不動産を含む相続では、財産そのものだけでなく、家族間の感情も関係してきます。

「自分たちが介護をしてきたから」という事情と、「財産をどのように評価するか」という問題は、別々に整理しなければ、話し合いが感情的になってしまう可能性があります。

そこで今回は、家族間の事情を尊重しながらも、不動産については専門家として客観的な価格調査を行い、話し合いのための共通の材料をつくることが重要だと考えました。


3)コンサルティングを提供するために確認したこと

まず、相続人それぞれのお考えを丁寧にお聞きしました。

ご相談者様ご夫婦だけではなく、妹夫婦様のお考えについても確認し、何が原因で話し合いが難しくなっているのかを整理しました。

そのうえで、対象となる不動産について価格調査を行いました。

ここで重要だったのが、「相続税の計算に用いる評価」と「相続人同士が遺産分割を話し合う際に参考とする不動産の実勢価格」は、同じものではないという点です。

相続税の申告については税務上の評価方法に基づいて計算する必要があります。

一方、実際にその不動産を市場で売却する場合には、立地、土地の形状、建物の状態、周辺の取引事例、市場動向などを踏まえて、実際の市場価格を考える必要があります。

今回は、この違いを整理することが、姉妹間の話し合いを進めるうえで重要なポイントとなりました。

また、相続税申告については税理士、相続登記については司法書士と連携し、それぞれの専門分野について適切なサポートを受けられる体制を整えました。


4)コンサルティングを実行した流れ

① タイムチャージ型(初期相談・課題整理)

最初に、ご相談者様と相続人それぞれのお考えをヒアリングしました。

家族関係やこれまでの経緯を確認したうえで、相続における論点を整理しました。

↓

② 不動産価格調査

相続財産となっている一戸建てについて、不動産市場における価格を調査しました。

周辺の市場状況や不動産の個別条件などを確認し、実際に売却する場合の価格について検討しました。

これにより、姉妹間で話し合うための客観的な材料を整えました。

↓

③ 専門家紹介・連携

相続税の申告準備については税理士へ委託し、必要な手続きを進めました。

また、不動産の相続登記については司法書士へ委託し、相続に伴う名義変更を進めました。

不動産会社だけですべてを判断するのではなく、税務・登記についてはそれぞれの専門家と連携することで、適切に手続きを進めました。

↓

④ 相続手続きの実行

不動産の評価について姉妹間で認識を整理しながら、遺産分割協議、相続税申告に向けた準備、相続登記などを進めました。

当初は不動産評価をめぐって意見がまとまりにくい状況でしたが、客観的な情報を共有することで、話し合いを前に進めることができました。

↓

⑤ 相続後の不動産売却(現金化)

相続手続きが完了した後、取得した不動産については、売却による現金化をサポートしました。

相続手続きだけで終わらせるのではなく、その後の不動産活用・売却まで一連の流れとして支援しました。


5)コンサルティング後の感想

ご相談者様から、次のようなお言葉をいただきました。

「始めは姉妹間で話し合って進められると思っていました。

しかし、やはり不動産があると、話し合いが上手くいかないものですね。

今回専門家に入ってもらったおかげで、相続税を納税するための不動産評価と、相続の話し合いに必要な不動産の実勢価格の評価が異なることをはじめて知りました。

専門家のサポートを受けたおかげで、スムーズに話し合いも進みまして、相続手続きも不動産の売却もすべてうまく進めて貰うことが出来ました。

本当に有難うございました。」

私たちの感想

今回の事例で重要だったのは、相続問題を「家族間の争い」として捉えるのではなく、まず不動産について客観的な情報を整理したことです。

不動産は、同じ一つの物件であっても、税務上の評価、金融機関による評価、市場での実勢価格など、目的によって考え方が異なります。

そのため、「不動産の評価額はこの金額です」と一つの数字だけを提示するのではなく、「何のための評価なのか」を明確にすることが大切です。

私たちは、相続人の皆様が納得して話し合いを進められるよう、不動産については不動産の専門家として客観的な情報を提供し、税務や登記については税理士・司法書士と連携することを心掛けました。

また、今回のように相続した不動産を最終的に売却する場合には、相続手続きと売却を別々の問題として考えるのではなく、最初からその後の売却まで見据えておくことも重要です。

私たちは、不動産を単なる「相続財産」として見るのではなく、ご家族が長年大切にしてきた資産として、その後の活用や売却まで含めて、次の世代へどのようにつないでいくのかを考えることが、不動産コンサルティングの役割だと考えています。

相続は、一生のうちに何度も経験するものではありません。

だからこそ、不動産が相続財産に含まれる場合には、家族だけで判断を急ぐのではなく、不動産・税務・登記など、それぞれの専門家と連携しながら、一つひとつ整理していくことが大切です。

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